コロナ・プラズマの表面改質原理
- ホーム /
- STUDY /
- コロナ処理を学ぶ /
- コロナ・プラズマの表面改質原理
コロナ・プラズマの表面改質原理
ストリーマコロナ
コロナ放電
金属電極の間に誘電体(絶縁体)を挿入して、高周波高電圧を印加すると、電極間にストリーマコロナと呼ばれる、フィラメント状のプラズマが時間的、空間的にランダムに形成されます。
誘電体を介すことで放電はアークに移行せず、かつ、ストリーマはナノセカンドオーダーで生成と消滅を繰り返すため、高熱のプラズマ化が抑制されます。
このようなプラズマのことを、「非平衡プラズマ」「低温プラズマ」と呼ばれています。
衝突による電離
イオン化(電離)
コロナ放電により電極から放出された電子は、電界中で加速され大気中の電子や分子と衝突することで励起や解離・イオン化が起こります。
イオン化された原子や分子からも電子が放出され、高エネルギーの電子が倍々と増加することでストリーマコロナが繰り返し発生します。
左図は衝突によるイオン化の過程を一部表したものです。特に、最下図は「ペニング イオン化」と言い、大気圧プラズマでは大きく寄与します。
官能基の生成
気相中の反応
放電中の高エネルギー空間では、様々な気相反応が起こります。例として、大気中では空気中の酸素分子の電離・解離により酸素ラジカルやオゾン等が生成されます。
また、空気中の代わりに希ガスや不活性ガスを封入すると放電状態がコロナからグローライクに変化したり、希ガスや不活性ガスに若干の反応性ガスを混ぜることで、特殊な官能基の生成が得られたりします。
(大気圧プラズマ処理と言われています)
高分子表面改質
高分子表面改質(官能基の導入)
高エネルギーの電子は、対極側を通過する高分子フィルムの表面層に達し、高分子結合の主鎖や側鎖を切り離す作用が働きます。
切断された高分子表層は科学的にラジカルな状態となり、気相中の酸素ラジカルやオゾン層が主鎖や側鎖と再結合することで、水酸基、カルボニル基等の極性官能基が導入され、親水性が付与されます。
これにより、疎水性高分子への印刷性・接着性・ラミネート等が著しく向上することになります。
改質の影響は表面層0.1um以下で基材自身の特性を損ねることはありません。
また、大気圧プラズマ処理ではこれら官能基の種類に選択性を持たせたり、表面のラジカル状態を増やしたりできることから新しい機能性材料の分野で注目されています。
コロナ処理を学ぶ